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いざ行かん、バルカン
クロアチア〜イタリアの旅, 2011年
4. ザグレブ〔3〕 続・市内散策 2011.9.26mon.
|午後2時すぎ ▷ 青果市場
 教会の前の道を教会を背に進むと、台がびっしり並んだ広場に出る。青空市場だ。手元のガイドブックには「青果市場」と出ている。営業は午前中が中心と見え、あたり一帯はすでにほとんど片付けを終えて、あるテーブルは天板をむきだしに、あるテーブルはカバーを掛けた状態で、すでに明日の営業を待っている。売り手の姿もほとんど見えず、まるで宴会がはけた後にのこのこやってきたような場違いの風情であった。
 ——いや、たまたま通りがかっただけ。
 なんとなく言い訳めいた気持ちになり、市場の隅を足早に通り抜ける。
 青果市場を北に抜けた界隈はちょっとした谷筋になっていて、とくに左側の丘との間にけっこうな高低差がある。実際、脇道を左に入ると、斜面に沿って急な坂道が張り付いていた。

旅行写真
政治の中心は丘の上にある

 ▷ 石の門
 坂道を適当に上っていくと「石の門」に出た。
 1986年にザグレブを訪れたときは、名所旧跡を巡るというより、高台に惹(ひ)かれて坂道をふらふらと上り、聖マルコ教会からここに出たのだった。3月の寒い時季だった。
 あのときここに来たのはまったくの偶然なのだが、聖マルコ教会から左の道をたどれば自然とここを通るので、とりたてて偶然と騒ぐほどのことではない。むしろ、ここに来たことより、ここに来たことを覚えていることのほうが希少かもしれない。
 「石の門」の光景がそれだけ印象的だったということに他ならない。
 まず、道が建物をL字形に通り抜けている。そして、L字の角の部分にマリア様が祀(まつ)られ、道の反対側に献灯台とちょっとしたベンチが設けられている。つまり、通り抜け式の教会がそこに出来上がっていた。

 祀(まつ)られているマリア像に由来があるらしく、ネットで検索するといろいろヒットする。しかし、たとえ由来を知らなくても、観光客や地元の信者たちが道ばたの献灯台にロウソクを立て、木のベンチに座って祈る様子はそれだけで印象深い。他の人に交じって私も小さめのロウソクを1本買い、献灯台にそっと立ててみる。小さいロウソクは1本1.5クーナ(20円強)だった。

旅行写真
献灯台。道の右側にマリア像がある

デザイン変更など 2013.9.12〜16
改 2012.6.08
記 2011.11.20